「コールサック」日本・韓国・アジア・世界の詩人

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金 知栄(キム ジヨン)

<経歴>

1945年 韓国 慶尚北道大邱市に生まれる

1966年 大邱大学初級大学(現・嶺南大学)家政学科を卒業

1967年 農村指導所で公務員として勤務

1970年 六八年に宋寅鎬と結婚し渡日。三児の母となる

1974年 在日韓国人「政治犯」の崔哲教救援運動を契機に韓国の民主化・統一運動に参与。これと関連して旅券発行を拒否され、帰国の道が塞がれる

1980年 光州抗争に触発され「民族時報」で執筆活動を始める(現在まで)

1992年 張貞任詩集「あなた 朝鮮の十字架よ」日本語訳を刊行

1994年 法政大学経済学部を卒業

1998年 明治大学大学院文学研究科史学専攻博士前期課程修了

2002年 旅券が発給され、約三十年ぶりに帰国

2003年 海外民主人士の帰国実現により名誉回復がなされる

2014年 詩集『薬山のつつじ』をコールサック社より刊行

<所属> 詩誌「チョンソリ」会員。6・15共同宣言実践民族共同委員会日本地域委員会代表委員。「民族時報」主筆。在日韓国民主女性会会長。


<詩作品>



母との再会


いつも笑顔を絶やさぬオモニが

久しぶりに訪ねてきた娘を

ぼんやり眺めている

 

〝来たんだね〟

〝ええ 来ました〟

〝来たんだね〟

〝ええ 来ました〟

喉が枯れるまで問答は続く


海を隔てて遠くに住む娘 

一つ また一つ 

記憶が遠のいていくオモニにとって

なんの慰めになるというのだろう


別れたら恋しく

会えば胸痛む

母と娘の再会


明るい顔で

 〝また 来ますね〟


せつない思いを胸にしまって

養老院を後にする

(二〇一〇年四月)







統一の歓声が聞こえてくる



そばにいても

いつも

恋しくて 

何度でも逢いたくなる愛しい人のように

祖国が一つになるという夢は    

私の心を虜にしました

 

とうとう出逢えぬ

二筋の川のように

あるいは

永久に別れてしまい

恋しさを慰めるしかないのかと

眠れず過ごした日々


けれども 今日

わが民族の

六・一五統一大祝典


南北と海外の同胞の

溶鉱炉よりもはるかに熱い

心と心が一つになり

六十年の歳月を疲れも知らず

倒れては起き上がり また起き上がり

ついに

この日を迎えました


私たちはただひたすら

夢路を彷徨っていたのではありません

はるか遠くから

統一の歓声が聞こえてきませんか

(二〇〇五年六月十五日)


―ピョンヤンで統一大祝典が開かれた日に


*二〇〇〇年六月十五日、韓国・金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国・金正日国防委員長が、分断五十五年目にして初の南北首脳会談を開いた。この場で六・一五共同宣言を発表し、統一問題の自主的解決などで合意した。


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